自民党・公明党に引き続き、今度は民主党について。
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■民主党
「マニフェスト」の政策各論の項で、都市計画に関連するものとしては、以下の内容が挙げられる。
44.環境に優しく、質の高い住宅の普及を促進する
○住宅政策を転換して、多様化する国民の価値観にあった住宅の普及を促進する。
・建築基準法などの関係法令の抜本的見直し、住宅建設に係る資格・許認可の整理・簡素化等、必要な予算を地方自治体に一括交付する。
48.災害や犯罪から国民を守る
・大規模災害時等の被災者の迅速救済・被害拡大防止・都市機能維持のために、危機管理庁(仮称)を設置するなど危機管理体制を強化する。
どちらも直接は関係しないが、「建築基準法などの関連法令の抜本的見直し」には、後述するように都市計画法なども含まれており、ここが都市計画的な観点からはポイントといえよう。
また、まちづくりに関連する事項としては、
34.市民が公益を担う社会を実現する
○特定非営利活動法人をはじめとする非営利セクター(NPOセクター)の活動を支援する。
・認定NPO法人制度を見直し、寄付税制を拡充するとともに、認定手続きの簡素化・審査期間の短縮などを行う。
という内容もみられる。NPOの話は自民党・公明党でもみられたが、「市民が公益を担う社会」と書くあたりが、この党の独自性といえるだろうか。
「政策集」には多数の項目が挙がっているが、その中で都市計画やまちづくりに関連が深いと思われる事項を挙げてみる。
○災害対策(2ページ)
被害を減らすため、既存不適格住宅の耐震改修を進めます。さらにゲリラ豪雨や都市における河川氾濫など、新しいタイプの災害への対策を強化します。
○地域主権の確立(7ページ)
大都市制度のあり方を検討する一方で、住民と行政との距離を縮めるため、政令指定都市の区や合併前の市町村などを単位とし、一定の権限を持った自治区を設けられるようにします。
○住民自らによるガバナンス形態の決定(8ページ)
地域のことを地域で決める地域主権を確立するため、法律等の画一的な縛りを極力撤廃して、シティマネージャー制度の導入、地方議会定数や地方議会議員の任期の変更など、地方が独自の判断で自治体や議会の仕組みを決められるようにします。
○コミュニティの再生・強化(13ページ)
住民が単に公的サービスの受け手となるだけでなく、公共サービスの提供者・立案者といった自治の担い手として参画する社会を目指します。特に、地域で行われている高齢者宅の見回りなど、地域住民同士が互助互恵の精神で行う奉仕活動を促進し、過疎地などのコミュニティを再生・強化します。
○登記所の地図整備を推進(14ページ)
地図整備についての国の責任を明確にし、筆界特定手続きの職権開始制度の導入など正確な登記所備付地図の整備を加速します。
○農地制度の改革(35ページ)
農地について、一筆毎に規制する方式からゾーニング規制(地域別規制)の方式を基本とする制度に転換します。さらに、地域住民参加型による農業的土地利用(農業振興地域整備法)と非農業的土地利用(都市計画法)とを一体化した総合的な「都市・農村地域土地利用計画制度(仮称)」を創設します。
○中心市街地・商店街の活性化(38ページ)
地域コミュニティ再生のため、商店街の活性化を支援します。1階に商店街、2階以上を高齢者向けケア付き賃貸住宅とする複合建築物の建設などにより、「商住一体のまちづくり」を進めます。託児所や駐車場・駐輪場等を整備し、消費者が気軽に商店街に出かけられる環境を整備します。起業家のためのSOHO(在宅勤務の小規模オフィス)への活用や行政窓口設置により、空き店舗や空き地の利用を進めます。後継者不足に苦しむ商店街の新たな担い手育成を支援します。
都市景観の向上、防災施設や情報通信基盤の整備、電線の地中化等を促進し、バリアフリーで美しい商店街をつくります。
○地方の特性を生かした国土政策(39ページ)
農山漁村は、超高齢化と若年労働者の流出が進み、過疎化による地域コミュニティの崩壊や農地・林地などの国土荒廃が進行しています。水源確保や土砂流出防止などの国土環境の保全機能、伝統文化や自然との共生等の文化・レジャー機能の充実など、多種多様な機能を生かすための支援策を展開します。
都市部では、密集市街地の形成や交通渋滞の発生など負の遺産が解消されていません。中心市街地の空洞化問題への対策、一極集中下での大規模地震など激甚災害のリスクの解消を重点とします。
○地域活性化に立脚した観光政策(40ページ)
総合的な交通体系と景観に配慮した街や交通施設の整備を進め、国内外からの観光客の視点に立った観光政策を推進します。
○人にやさしい地域主権のまちづくり(40ページ)
これからは画一的なまちづくりではなく、自治体への大幅な権限と財源の移譲を前提に、それぞれの基礎自治体が街の特性を活かしたまちづくりを推進できるようにします。
道路や施設などインフラ整備のハードづくりと、土地の名産品や祭りなどコミュニティを盛り上げるソフトづくりを最適に組み合わせ、住民・NPO参加による行政等の運営を行い、「人の温かさが感じられるまちづくり」を進めます。
新たな発展を続ける大都市と、商店街の空洞化や人口の過疎化、社会基盤整備の衰退などに直面する地域との格差拡大の解消に努めます。
現在の法体系を抜本的に見直し、建築基準法を単体規制に特化、大胆な地方分権を前提として都市計画法をあまねくすべての地域を対象とする「まちづくり法」に再編、景観・まちづくりの基本原則を明記した「景観・まちづくり基本法」を制定することなどにより、コミュニティと美しく活気あるまちの再生・保全を図ります。
○高齢化など社会環境に対応したまちづくり(40ページ)
高齢化社会、人口減少社会等に配慮したまちづくりを進めます。移動制約者の自立と社会参加の促進のため、引き続きバリアフリー社会の実現を目指します。
○交通基本法の制定(41ページ)
「交通基本法」を制定し、国民の「移動の権利」を保障し、新時代にふさわしい総合交通体系を確立します。その内容は、…④都道府県・市町村が策定する地域交通計画によって地域住民のニーズに合致した次世代型路面電車システム(LRT)やコミュニティバスなどの整備を推進する――等です。
○環境影響評価(環境アセスメント)制度の拡充(45ページ)
環境アセスメント法を改正し、対象事業の範囲の拡大・評価項目の追加、情報公開と市民参加の機会の拡充などを実現します。また、自治体による市民参加の機会の拡充を支援します。全事業に対する国レベルでの戦略的環境アセスメント制度(SEA)の導入をめざします。
○循環と共生のまちづくり(49ページ)
環境負荷の少ない持続可能な社会を目指すための原則を明記するとともに、情報公開と市民参加を徹底した地域主権型のまちづくりのシステムを、都市計画法や建築基準法を抜本改正することによって構築します。また、省エネルギーのための屋上緑化と美しい都市景観をつくる「都市緑化法(仮称)」の検討を進めます。
と大変盛りだくさんなのだが、どこかで読んだことのあるような文章にも見えてくる。住宅政策のまとめでも感じたことだが、近年にこの分野の研究者が主張してきたことに大変近いのである。民主党の政策をまとめるにあたっては、ブレーンとなった研究者がいるか、あるいは研究者の書いたものを整理したのか、どちらかではないかとも思えてくる。研究者的な文章という意味では、現在自治体が取り組んでいる内容を並べたかのような公明党のものと比べると、読んでいて分かりやすいし、論理が通っているようにもみえる。
ただし、随所で「抜本的」と書かれているように、現在の制度をかなり大幅に変えることが主張されており、これが本当に実現出来るかどうか、またこの提案のように改正して本当にうまくいくのかは、注意深く検討される必要があるだろう。法制度の部分だけをみても、現在の「建築基準法」「都市計画法」「農業振興地域整備法」を“ガラガラポン”して、「新建築基準法(単体のみ)」に、「まちづくり法」と「景観・まちづくり基本法」、「都市緑化法」と「都市・農村地域土地利用計画制度」にするというが、いったいどのような形になるのかは見当もつかない。
個人的には、この提案内容には若干疑問を抱かざるを得ない。最大の疑問は、このような制度を、「まちづくり」という言葉で受けてよいのかということ。まちづくりはむしろ空間=ハード以外の、行動=ソフトも含む概念であるから、空間を対象とする法制度には、この言葉を使うべきではないのではないか。都市と農村を一体的に扱うというならば、「都市・農村計画法」とかでよいはずである。その意味では、「景観・まちづくり基本法」にも違和感を感じる。景観は基本的には空間の話だからである。
逆に、もしもこの法律の中に、ソフトも含む広義の「まちづくり」も含めてしまおうとしているのならば、それについても違和感がある。今やまちづくりは「都市計画」という範疇を超えた大きな概念なのであって、それを都市計画的なものの中に“回収”してしまおうとするのは、どこかおかしいのではないか。
などということを考えてみても、総論として主張していることはわかるが、各論としては疑問も持ってしまう部分が多い。まあ、自民党や公明党のように、(都市計画に関する)総論がみえにくいものよりは良いとは思うが。
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