建築学会大会感想・2日目
2日目の朝は、都市計画の研究協議会「都市計画は機能しているか」から。いずれのパネリストの話も興味深かったのだが、どうも語られていることの多くは共通しているように思える。都市計画の制度を住民も関与する形で地域の主体的な運用にまかせること、おおよそこの点に集約されるのではないか。この辺は数年前の学会委員会でも議論されていることであるから、改めてこの場で意見を出し合う/議論することの意義が何かがよく分からない。シンポ最後で「これをスタートに」との言葉が聞かれたが、すでに議論自体は進んでいるのであって、これから新たに議論を始める必要はなく、むしろ具体の制度設計や改革に向けた動きになるのではと。
あと一点気になったのだが、「都市計画の提案制度」については比較的好意的な意見が述べられていた気がするが、現在の自治体の状況ではうまく機能しない気もしてしまう。住民からの提案を十分な説明責任を果たさずに曖昧な理由で却下したり、逆に明確な論理を組み立てられず否定出来ないから認めざるをえないような場合も出てくることが危惧されるのではないかと。
-----
午前の上記協議会の裏では、建築経済の「集合住宅(団地)再生の社会システムを考える」の協議会があり、どちらにしようか考えたが、結局上記を選択した。というのは、協議会資料をみるところでは、おおよそすでにいろいろなところで聞いた話が多く、あえて聞かなくてもと思ったからである。資料自体は大変充実していて、ここ数年の団地再生研究の成果がまとまっている、役に立つものといえるだろう。しかし、逆に言えばもうこれだけの研究や議論がされている(尽くされている?)わけで、改めて今何を議論すべきなのかが(私には)よく分からない。
これだけ研究がされて、いろいろなアイデアが出ているのに、実際には日本での団地再生はあまり進んでいないのはなぜか。まだ実践的研究が足りなかったり、制度的に問題があるという面もあるのだろうが、ここまで進展が遅いとそもそもニーズがどれだけあるのか?とさえ思えてしまう。ニーズがあまりなかったり、再生しても持続し得ない団地が多いのであれば、むしろ“安楽死”の方法こそ議論されるべきなのでは、という気もしてしまう。
-----
午後は建築計画の「シェア居住・コレクティブ・コーポラティブ」のセッションへ。この辺は新たな住まい方として注目すべき部分があるので聞きにいったのだが、私の(一応)専門である住宅問題との視点の違いに少々とまどう。実際の居住空間に着目しているのはよいのだが、その空間がなぜ出来たか・どうやって成り立っているかという背景部分(住宅問題的な観点からはむしろ「本質」)があまり語られないのである。例えばコレクティブに関する5636-5637の論文などでは、経営面などについて結論部分でわずかに触れられているから関心を持っていないわけではないのだろうが、そこに関する情報を把握していないのである。シェア居住についても、「シェアして豊かに暮らす」光の面が強調され、「シェアせざるを得ない」というような闇の部分が語られない。まあ、視点が違うのだから仕方ないのかもしれないが。
こういうのをみていると、どうも建築計画というのは「性善説」的−よい空間をつくればきちんと成り立ち豊かに暮らせる−な捉え方、それに対して住宅問題は「性悪説」的−問題はどうしても起きるものだからどう回避・解決するか−な考え方をしているようにも思えてくるのである。ちなみに都市計画はその両面−まちづくりでは「性善説」、集団規定関係では「性悪説」?−を持つのかもしれない。

Comments