« March 2009 | Main | June 2009 »

May 16, 2009

都市計画のオペレーティング・システム

 近い時期に行われるという都市計画法の改正に関係して、専門家や研究者が集まって議論するセミナーに参加する。自由な議論を行うためのクローズドな場だったので、内容についての詳細は述べないが、東京からいらっしゃった大御所の先生からの問題提起を受けて、関西のメンバーと意見を交換する形で話が進められた。
 話の中で一番印象に残ったのは、都市計画の制度をOS(オペレーティング・システム)と捉えて、これを根本的に変えなければならないという指摘であった。制度というものは基本的なシステムであり、使いやすさ、速度・軽快さ、安定性といった観点から評価されるべきだと、以前から思っていた部分があるので、このあたりは全く同感である。そういうふうにみれば、今の都市計画制度というのは、大変使いにくく、インターフェイスも人間的ではなく、やけに重くて処理が遅く、かつ不安定で結構落ちやすいOSなのではないか、という気がする。これまでに行われた制度の改正では、新しい機能を追加するために変な形でモジュールを接ぎ木して、さらにわけの分からない重々しいものになってきた気がするので、今回の改正では、むしろこういうOSのアーキテクチャ自体を変えることを考えなければならないのだろう。
 ただし、その先生は「OSは国がつくるのではなく、各自治体が自由につくれるように」と言っていたのが、私自身としては、きちんとした形の使いやすいOS自体は国がつくるべきだと思っている。OSそのものをつくるには膨大なコストがかかるから、そこまでを自治体に任せるのは無理であり、そこは国が責任を持ってつくると。ただし、そのOSに関する情報は全て公開した上で、各自治体がそのOSを必要に応じて自由にカスタマイズ出来るようにする、あるいはそのOSのもとで動くアプリケーションを個別に開発・選択出来るようにする、ことが必要だと思う。もちろん、カスタマイズもアプリケーション開発も出来ない自治体も多いだろうから、ベーシックなOSだけでもそれなりに使えることが必要だし、また基本的なアプリを国が提供することも必要だろう。
 などと考えるならば、MicrosoftがWindowsの機能を毎回重くしていき、かつOSと一体的にIEやOffice等のアプリをつくってこれをスタンダードにしてしまうのではなく、LinuxなどのようにOSは多数の人の参加・関与のもとでオープンに開発して、アプリケーションも個別の開発者が自由につくるような形が、都市計画の制度にも求められるのだと言えるだろうか。フリーウエアやシェアウエアのように、個々の自治体がつくったアプリが共有財として普及していくようなこともありうるかもしれない。
 もちろん、OSという比喩がそのまま都市計画に当てはまるわけではないが、そのような視点で全体のシステムを捉え直し、IT的な設計の発想も踏まえた上で、あり方を考え直してみるというのは、結構効果的なのではないかと思うが。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« March 2009 | Main | June 2009 »