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Apr 14, 2011

空き家賃貸住宅の被災者仮住まいへの活用を考える(2)

(1)より続く

 続いて、仮住まいに移るにあたって最も重要と思われる、「1.住宅の立地」に関して考える。ここでは、被災地(県)からの距離を考えて、仮に次の5つのエリアに分けて捉えてみることにする。
(A)被災県:岩手・宮城・福島
 …茨城・千葉も被災地だが被害程度を考えて仮に外す
(B)被災地隣接県:青森・秋田・山形・新潟・群馬・栃木・茨城
 …被災県に接する県
(C)被災地近隣県:北海道、富山・長野・埼玉・東京・千葉・神奈川・山梨・静岡
  …隣接県に接する県、及びそれらと被災県から同程度の距離の県
(D)その他東日本:石川、福井、岐阜、愛知
 …関西よりも東を仮に位置づける
(E)その他全国:上記以外の県
 これらの5エリアの都道府県について、空き家・賃貸用の住宅の状況を集計したのが[表3]である。先に全国について述べた通り「腐朽・破損あり」は不適切と考え、また(A)被災県については地震による建物被害や地域の被害も想定されるため半数程度しか使えないと仮定すれば、それぞれのエリアで仮住まいとして活用可能と考えられる空き家賃貸住宅の戸数は、以下のようになろう。
  (A)被災県:7.3万戸
  (B)隣接県:31.0万戸
  (C)近接県:131.8万戸
  (D)東日本:25.5万戸
  (E)その他全国:123.9万戸

表3 「空き家」の「賃貸用の住宅」の県別・エリア別の状況

Hyo3_2

 このような仮住まいの住宅供給に対して、需要側はどのような状況だろうか。そして需要に対して供給はどの程度満たされるのだろうか。住宅の被害戸数の全体像はまだ明確にはなっていないが、「建築物被害状況」や「避難者数」をベースに考えれば、[表4]のような形となろう。
 警察庁の4/13時点の情報によれば、建築物被害は全域で全壊59972戸、半壊13149戸となっている(発表された合計値と若干異なるのだが)。原発問題のある福島県では確認が進んでいないようだが、とりあえずこの値を用いて「全壊戸数と半壊戸数の半分」が仮住まいを必要とすると仮定すれば、必要戸数は「66547戸」となる。
 一方、警察庁の同じ情報によれば、避難者の人数は全域で138286人となっている。この数は他県からの避難も含むため、仮住まいの段階でも当該県にいるとは限らないが、とりあえず避難先の県内で仮住まいも探すと仮定して、国勢調査に基づく全国の平均世帯人数2.55人を用いれば、必要世帯数は「54518世帯」となる。
 住宅の戸数と世帯数は必ずしも対応しているわけではないのだが、ここはおおよそ同じと扱うとして、前記の必要戸数と必要世帯数のより大きな方が、必要となる仮住まいの数だと想定すると(つまり多めにとるということ)、想定必要戸数は「80378戸」となる。この場合に、「避難者人数」の必要世帯数の方が「建築物被害」の必要戸数より大きい場合(表中の黄色の県)には、建物被害は相対的に少ないのに避難者が多いわけだから、(A)被災県からの広域避難者が中心とみてよいだろう。

表4 仮住まいが必要と想定される戸数の推定

Hyo4_2

 この需要に対して、空き家賃貸住宅が足りているのかどうかを考えてみる。充足状況について推定してみたのが[表5]である。
前出の「活用可能想定戸数」の全てが被災者の受け入れに使われる、つまり大家が被災者への貸し出し(あるいは行政による仮設住宅としての借り上げ)に応じるとは考えられないから、一定割合の物件のみが受け入れに使われると想定するのが妥当であろう。
 国交省・住宅局の対応状況の資料によれば、福島県について「応急仮設住宅として借り上げる際の条件を提示して確保した5千戸の借上対象」とあるので、福島県の活用可能想定戸数22900戸の「20%」程度で受け入れが出来る(借り上げが出来る)と考えることができよう。この割合は他の(A)被災県でも同様と考えてもよさそうだが、必ずしも被災地ではない(B)隣接県では事情は異なり、これだけの割合で受け入れられるとは考えられないので、仮にその半分の「10%」が受け入れに応じると想定する。(C)近隣県以遠では、さらに受け入れ割合は下がると思われるから、「5%」の受け入れと仮に考えてみる。
 このように仮説的に考えてみると、空き家民間住宅で想定される受入戸数は、次のように推定することができるだろう。
  (A)被災県:1.4万戸
  (B)隣接県:3.1万戸
  (C)近接県:6.5万戸
  (D)東日本:1.2万戸
  (E)その他全国:6.2万戸

 先に出した需要側の「想定必要戸数」と、この供給側の「受入想定戸数」とを比較するわけだが、まずは「全て空き家賃貸住宅で受け入れる」場合を考えてみる。その際の受け入れに関しては、まずは当該都道府県内の被災者を第一に受け入れる、と考えるのが妥当だろう。こう考えた場合の各都道府県での充足状況は「当該県内受入」の項の通りであり、(A)被災県では5.3万戸が足りない計算となる。この不足分について、被災県からの距離が近く2.3万戸の余裕がある(B)隣接県で受け入れるとすれば、それでも足りない分は2.9万戸となる。この分に関しては、(C)近接県のうち被災県からの交通の便が比較的よいと考えられる関東の4県で十分受け入れが可能であり、それでも1.3万戸の余裕がある計算になる。
 つまり、全ての被災者を空き家賃貸住宅で受け入れるとした場合でも、(A)被災県、(B)隣接県、及び(C)近隣県のうち関東だけで十分まかなえるのであり、それ以遠の県の空き家を使う必要はないと考えられるのである。

 続いて、建設される仮設住宅で優先して被災者の受け入れを行った上で、足りない分を空き家賃貸住宅で受け入れる場合を考えてみる。前述の国交省の資料によれば、(A)被災県で計62000戸、その他もあわせて全域で62290戸が、仮設住宅の建設が必要な戸数として示されている。
 これらの建設予定の仮設住宅で、想定必要戸数を受け入れるわけだが、広域避難した被災者も元の県の仮設住宅に戻ってくるのを第一に希望していると考えれば、前述のように広域避難被災者が多いとみられる県(表中の黄色の部分)については、ここの想定必要戸数は(A)被災県で受け入れることを考えなければならない。そこで広域避難被災者の需要戸数(表中の黄色)を、被災3県に等分に割り振るとして、充足状況を計算したのが表の「仮設住宅受入」の数値である。
これより、(A)被災県の岩手で3.6千戸、宮城で10.9千戸が足りない計算となる。福島の場合は1.9千戸余る計算となるが、これは被害状況が確認されていない原発周辺地域も含めて仮設住宅の必要戸数を考えているためであろう。全域でみれば、仮設住宅で足りないとみられる戸数は1.8万戸と想定される。
 この分を各県内の空き家賃貸住宅で受け入れるとすれば、(A)被災県の岩手で0.6千戸、宮城で3.9千戸が足りないことになるが、この程度の住戸数であれば(B)隣接県において十分受け入れられる数である。実際には、建設仮設住宅・空き家賃貸住宅の他に、公営住宅等も活用されるのであるから、(A)被災県内でほぼ対応しうるとも考えられるだろう。
 よって、仮設住宅への入居を第一に考え、足りない分を空き家賃貸住宅で受け入れる場合には、(A)被災県でほぼまかなうことができ、不足分も一部の(B)隣接県で対応できると考えられる。

表5 仮住まいとして活用する空き家民間住宅の充足状況の推定

Hyo5_2

 あくまでも現状で手に入るデータを元にした非常に粗い推計ではあるが、空き家賃貸住宅の仮住まいとしての活用は、(A)被災県と(B)隣接県を中心に実施すればよく、それでも不足する事態が生じても(C)近隣県の関東地方だけでまかなえるものと推測される。
 よって、全国を対象として広く空き家賃貸住宅の活用を促す必要はそれほどないのであり、被災者が元々住んでいた地域での生活・住宅再建を望むのであれば、(A)被災県及び(B)隣接県において空き家賃貸住宅の掘り起こしを行えば、十分に対応しうるものと考えられる。

 なお、遠隔地の空き家賃貸住宅については、一定地域にまとまった戸数が確保出来て従前のコミュニティ単位で移住出来るところがある、従前と同様の仕事が実施出来る環境がある、あるいは社会的弱者が必要とする適切なケアが受けられるような場合で、被災県・隣接県及び近隣県でそのような環境が得られないのであれば、活用する意義はあるものと思われる。

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空き家賃貸住宅の被災者仮住まいへの活用を考える(1)

 被災者への仮住まいの提供を推進する人々は、「全国には750万戸の空き家があり、そのうち400万戸は賃貸住宅であるから、仮設住宅を建設するよりもこれらの空き家ストックを活用すべき」という主張をすることが多い。確かにこれだけの空き家があるのだから、これらを被災者の仮住まいに活用することは必要だろう。
 しかし、「全国400万戸の賃貸住宅を活用」と言ってしまうのは、あまりに雑駁すぎるようにも思える。東北地方(及び茨城・千葉など)の被災者を受け入れるために、いきなり全国津々浦々の空き家を活用することを考えるのは、被災者の生活再建のことを考えればあまり現実的ではないし、また一口に「空き家の賃貸住宅」といってもその状況は様々であるから、そのあたりも考慮した上で、「どこの/どういう賃貸住宅の空き家を/どのように活用するか」を考える必要があろう。
 ということで、全国400万戸の民間賃貸住宅の空き家がどのような状況であるのかを改めて捉え直した上で、それらを被災者の仮住まい−一時避難の受け入れというよりは、2年程度の中長期に渡って移住する住まい−としてどのように活用できるのかを考えてみたい。

 「全国400万戸の賃貸住宅」というデータの出所は、平成20年住宅・土地統計調査とみられる。この調査の「結果の概要」の「第1章 住宅・世帯の概況(PDF)」では、平成20年(2008年)の空き家は「757万戸」で、総住宅数5759万戸に対する割合=空き家率は「13.1%」とされている。この空き家のうち、「賃貸用の住宅」が「413万戸」となっており、この数字が「全国400万戸の賃貸住宅」の根拠と思われる。

 これらの空き家賃貸住宅を被災者向けの仮住まいとして活用する際に考慮しなければならない事項としては、次のようなことが挙げられるだろう。これらを踏まえた上で、被災者の仮住まいとして活用することが出来る/望ましい賃貸住宅はどの程度あるのかを考えてみる。

1.住宅の立地: 生活・住宅再建を考えれば、出来るだけ被災地に近いところが望ましい。
2.住宅の質 : 仮設住宅相当で2年かそれ以上住むとすれば、一定の住宅の質が必要。
3.周辺の環境: 慣れない土地で暮らすため、周辺の生活環境が整っている方が望ましい。

 なお、本来は市町村単位で詳細に検討することが望ましいのだが(特に被災地に関しては)、作業時間の関係とデータの制約を考えて、以降の作業ではとりあえず都道府県単位で考える。

 まずは全国の状況についてみてみる。「2.住宅の質」に関して重要なのは、建築時期・床面積・設備などの住宅内部の性能・環境なのだが、空き家については住んでいる世帯がいないので内部の調査は出来ないため、外観調査に基づくデータしか示されてない。これらのデータに関する空き家の賃貸用の住宅の状況は[表1]のようになっている。
 空き家賃貸住宅の総数は413万戸だが、そのうち被災地での従前の住まいの一般的な建て方とみられる「一戸建」は26万戸に過ぎず、大半の359万戸は共同住宅で、そのうち非木造が271万戸となっている。つまり、空き家賃貸住宅に移るということは、従前の木造一戸建とは全く違う形態の非木造共同住宅へと移ることを意味しており、住まいの環境の変化は大きい。
また、総数のうち87万戸は「腐朽・破損あり」=建物の主要部分やその他に不具合がある、となっている。これらの物件も当然手を加えれば住めると思われるが、被災者に対して早急に提供する意味では相対的には適切ではない。よって、全国の空き家賃貸住宅で仮住まいとしてすぐに提供できるのは「326万戸」と考えられる。

表1 「空き家」の「賃貸用の住宅」の建て方と腐朽・破損の状況(全国)

Hyo1_2

 「3.周辺の環境」に関しては、住宅から最寄りの各種施設等までの距離が示されており、それらをまとめたのが[表2]である。被災者が被災地外の仮住まいに移るにあたっては、自動車を確保することは難しい面もあると思われるから、歩いて生活できる場所に住むのが出来れば望ましいと考え、1km(12~13分程)を徒歩圏内と仮定するならば、医療機関・公民館等・郵便局等まで(日常的な買い物もこのエリアと思われる)が徒歩圏内は9割程度だが、老人デイサービスセンターが徒歩圏内は約7割で、駅から徒歩圏内は全体の約半数となっている。
 駅から遠い物件ではバス等を使えばよいとしても、医療機関・公民館等・郵便局等が徒歩圏内ではない物件(30~50万戸)は若干問題があると考えれば、空き家賃貸住宅ストックの「1割」程度は仮住まいとして適当ではないようにも思える。

表2 「空き家」の「賃貸用の住宅」の各種施設等までの距離(全国)

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 このように考えれば、全国の空き家賃貸住宅の総数が400万戸だとしても、住宅の質に関する腐朽・破損の状況や、周辺環境を表す生活施設までのアクセスを考慮すれば、仮住まいとして活用可能なのは最大でもおおよそ「300万戸」程度なのではないか、と考えることが出来よう。

(2)へ続く…

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Apr 05, 2011

被災地外への仮住まいによる住宅再建への影響の考察

 にも書いたように、被災者を域外の住宅等で一時的に受け入れようとする動きが広がっている。被災地から実際にどの程度が移っているのかは不明であるが、域外からの情報発信や受け入れの体制は整ってきており、今後一時避難を行う被災者が増えることも予想される。
 そのような形で、被災者が被災地の自宅を離れて域外の住宅へ移った場合に、その後の住宅再建に関して何らかの影響が出ないものだろうか。その点について考えてみたい。

 まず、過去の震災の状況からすれば、被災から住宅の再建に至る一般的なプロセスは、おおよそ次の図のような形で整理できるだろう。

Photo

 自宅が被害を受けると、まずは「避難所」へと移る。その間に自宅の「被害状況調査」が行われて建物の被害程度が「全壊・大規模半壊・半壊」などと判断され、このような被災の状況・度合いを証明するものとして「り災証明書」が発行される。この証明書に基づいて公的な支援が行われるわけだが、住まいに関してこの応急対応段階では、大きく「仮設住宅」と「応急修理」の2つの支援策があり、被災者は被害程度等に応じてどちらか一方を受けることが出来る。
 仮設住宅は、原則最長2年間を限度として仮の住まいを提供するものであり、新規に建設されるプレハブ住宅(建設型仮設)と、行政が借り上げた民間賃貸住宅(借上型仮設)の2種類がある。そして、これらへ入居できるのは原則「全壊」の被災者となっており(中越の際には降雪の問題もあり大規模半壊等も対象になった)、順次完成したあるいは借り上げた仮設住宅へと入居していく。
 応急修理制度は、大規模半壊と半壊を対象に(全壊も含む場合あり)、自宅で生活するために最低限必要な補修工事を公共負担(最大52万円)で行うものである。被災者が市町村に申し込んだ上で、斡旋を受けた工事業者に修理を依頼し、終了後に工事業者が自治体に費用を請求する手順となる。また、応急修理と自治体独自の再建支援制度を併用することで、「最低限必要な」部分以上の本復旧工事を行う場合もみられる(中越の場合はこの形も多かった)。
 仮設住宅に入居した被災者は、入居期間中にどのように住まいを再建するかを検討する。再建の方向としては、従前の敷地での「自宅の再建」(建替え)、新たな場所での「新規購入または賃貸」、及び公的に供給される「復興住宅」への入居、が主なものとして挙げられる。そして、そのような形で再建するための公的支援策の申込や調整等の手続を行い、新たな住まいを確保して、仮設住宅を後にすることになる。

 以上のような大まかな住宅再建の過程で、域外に仮住まいしていた場合には、どのような影響が出るだろうか。仮住まいといっても、「避難所」を代替する役割=数ヶ月程度の一時避難受入れ住宅か、「仮設住宅」を代替する役割=半年~2年以上の一定期間暮らす住宅かで状況は異なるので、それぞれの場合について考えてみる。
(1)「避難所を代替する住宅」の場合
 この場合には、り災証明に関わる諸手続、そして仮設住宅の入居申込や応急修理制度の申込・工事依頼等の手続を、現地から離れた地域で行わなければならない。
 り災証明については、被害度合いによって受けられる支援の度合いが異なるので、判断結果に対する申し立て(半壊とされたが本当は大規模半壊なのでは、とか)が出されて調整することも多いのだが、そのような調整を域外の避難地からやるのは少々難しい面があると思われる。
 応急修理を行う場合には、自治体への申込/業者への工事依頼/工事完了の確認/自治体への費用請求(これは業者が行うが)などの手続が必要となるため、距離の離れた地域からではうまく進めることが難しい面もあろう。特に、今回は被害が甚大で広域であるから、被災地で修理業者を確保することは結構困難になると思われ、域外に避難すればなおさら難しいとも思われる。
 その他の一般的な手続-り災証明の発行手続や、仮設住宅の入居申込-などは、郵送等でも対応は可能だろうが、被災地から離れていると、申込の方法や期限に関する情報が適切に伝わらない危険性も考えられる。
(2)「仮設住宅を代替する住宅」の場合
 こちらの場合も、住宅再建に関する各種の手続を、現地から離れた地域で行うことになる。「自宅を再建」する場合には新築(建替え)工事を行う業者の手配と調整、「新規購入・賃貸」する場合には物件探しと契約の手続、「復興住宅」への入居の場合には申込の手続などを、遠隔地から行うことにならざるをえない。これらの手続は、随時必要な際に現地に行って行えばよいのであるが、仮住まい先が非常に遠い場所になった際には、その時間的・費用的な負担は大きくなるだろう。また、(1)でも書いたように、公的な支援策に関係するような手続については、被災地から離れていると、申込の方法や期限に関する情報が適切に伝わらない危険性も考えられる。

 このようにみると、域外の仮住まいに移った場合には、その後元の土地で住まいを再建しようとした際には一定のハードルがあるものと考えられる。では、このようなハードルをクリアするには、どういう対応が必要だろうか。
 まずは、仮住まいする場所に関しては、被災地=元の居住地までの便が比較的よいところを優先して選ぶ、というのがあろう。特に移動後すぐにも現地での様々な対応が必要になる、応急修理制度によって自宅の補修を行おうと考えている場合には、その点を考慮しておくことが大切だろう。
 また、現地に信頼できる“協力者”をあらかじめ確保しておくことも考えられる。応急修理や自宅再建をするのであれば工事を行ってくれる業者を手配しておくとか、新規購入・賃貸をするのなら不動産業者との関係をつくっておくとか、である。また、公的な支援の申込等の情報についても、例えば現地に残る知人に随時情報を送ってもらうなどの形が出来れば、より安心だろう。
 などの自主的な対応と同時に、行政としても何らかの対応策を用意することが望ましい。遠隔地から郵便や電話あるいはメールなどでも申請や調整がしやすい体制をつくるとか、支援の申込等に関する情報はインターネット等で広く公開するほかに(希望者に対しては)個別に連絡を取るとかである。あるいは、現地にいる代理人による申請や交渉も可能にするなども必要かもしれない(現状の仕組みでどうなっているかは確認していないが)。

 これまでの住宅再建の支援に関しては、大半の人が被災地の避難所や仮設住宅に集まっていることを前提とした形で、情報発信や申請等の手続が組まれていたようにも思う。しかし、仮に広域的かつ個別的な一時避難または仮設的居住が行われるのであれば、情報発信や手続実施もそれに合わせた仕組みを検討しなければならないのかもしれない。このあたりは、今回の震災でも出来るだけ対応できればよいし、もしくは今後起こりうる広域災害の際には重要な課題になると思われる。

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