仮設住宅の建設地から住宅復興を考える(その3)
(その2から続く…)
(5)大規模公園内
主として市街地の郊外にある、運動公園等の公共用地を活用してつくられた仮設である。一定の広さの敷地があるので、仮設住宅団地の規模も数百戸単位と比較的大きい。前述の通り市街地の中心部からは離れているので、買物等の移動には車は必須であり、その意味で生活の利便性は低い面もあるが、規模が大きい分、団地内に仮設の店舗をはじめとする各種の都市機能が設けられる場合もあり、となれば団地内で完結した形で生活が出来るのかもしれない。
5-1.宮古市田老・グリーンピアみやこは、田老の市街地の北6km程のところにある、総合的な運動公園である。この他に田老近辺に仮設住宅はみられないので、おそらくここに集約されているのであろう。グランドや駐車場に仮設が建てられているほか、体育館も何らかの用途で使われているようであり、また駐車場の一角にはテントを使った仮設の商店街?もみられた。周辺には店舗などはなかったようなので、仮設団地内にこのような昨日が必要なのだろう。
5-2.釜石市・平田総合公園は、釜石の市街地から4km程南に位置しており、東京大学が提案したコミュニティ型仮設がつくられており、またサポートセンターも設けられている。私が訪れたのはもう夕方から夜になろうという時間だったので、仮設の玄関を向かい合わせ屋根をかけたコミュニティスペースには誰もみかけなかったのだが、昼間や休日などはここで人が交流しているのだろう。近辺には何もなく車で市街地に出るしかない場所だけに、こういうスペースが重要なのかもしれない。
5-3.気仙沼市・五右衛門ヶ原運動場は、気仙沼の市街地中心部からは5km程西に位置し、国道から上がった高台にある。周辺にはコンビニ等の店舗も(確か)みられず、住宅地内にも店舗等の施設はみられなかったと思うので、生活には自家用車が必要不可欠なのだろう。コミュニティバスのようなものも走っていたように思うが。
5-4.南三陸町・平成の森は、町の東部の市街地である歌津から一つ丘を登ったあたりにある。国道まで出ればコンビニ等があり、必要最低限の生活必需品は比較的近隣で確保出来ると考えられる。公園のクラブハウス等を活用したボランティアセンター等も設けられており、利便性の低いところである分、様々な支援が行われているものと思われる。
5-5.女川町・運動公園野球場は、現在コンテナを活用した3階建ての仮設住宅を建設中である(おそらくこれだろう)。この他に、隣接する敷地に154戸のプレハブ仮設が既につくられており、また仮設の役場もこの運動公園内にある。なお、復興住宅もこの公園内の運動場を壊してつくられる計画だとのことであり、なくなった運動場は津波被害を受けた少し低いところに新たに建設される計画があるという。
5-6.東松島市・矢本運動公園は、東矢本駅の南1km弱の所にあり、町の中心軸であろう国道から一歩入ったところにある。仮設団地内には集会所以外の施設はみられないが、すぐそばの国道まで出れば商店等は多数あり、利便性は比較的高いと思われる。
(5-1.宮古市田老・グリーンピアみやこ[3カ所計407戸]、5-2.釜石市・平田総合公園[2カ所計282戸])
(5-3.気仙沼市・五右衛門ヶ原運動場[3カ所計310戸]、5-4.南三陸町・平成の森[246戸])
(5-5.女川町・運動公園野球場[189戸]、5-6.東松島市・矢本運動公園[371戸])
(6)工業団地内
(4)計画的開発地とも若干立地が重なるが、工場用地として新たに開発された土地の空き地を活用するものであり、数百戸規模の大きな仮設団地が建てられる場合がみられる。既存の市街地からは結構は慣れた場所にあり、周囲にも商店等は少なく、車での中距離の移動が不可欠と思われるが、(戸数や人口に比べて)道路が細いなどインフラが不十分なところもみられる。
6-1.石巻市・トゥモロービジネスタウンは、前出の4-4.石巻市・南境地区に隣接した業務機能向けの団地で、(おそらく買い手/借り手がまだいなかった)空き地に多数の仮設がつくられている。
6-2.石巻市・須江工業団地道路用地は、石巻駅からは北西に6〜7km離れた内陸の高台にあり、開発地の東側は工業団地、西側は住宅団地となっており、その工業団地の一角に建てられている。この工業・住宅団地内には、その他に2カ所計254戸(200戸が工業団地側、54戸が住宅団地側)の仮設が建つとなっている。近隣に商店等はみられないが、住宅団地の住民と同様に車で移動して買物等をするものと考えられる。
6-3.相馬市・大野台は、相馬駅の北西5kmほどの工業団地内にある。すでに工場が建つエリアもあるが、まだ空き地であった南側のエリアに9カ所計約1000戸の仮設住宅団地が位置している。最寄りのコンビニまでも2kmは距離があり、どうしても車で動かざるをえないと思われるが、工業団地内の道路は整備されているものの、中心市街地と結ぶ道路は古い細いものしかなく、交通の面では不便さもあろう。訪れたのはちょうど夕方だったので、軽自動車がひっきりなしに出入りしており、混雑の発生や事故の危険性なども問題になるのでは、と思われた。
6-4.相馬市・柚木工業団地は、6-3とは逆に相馬駅の南東側7〜8kmのあたりにある。主要な幹線の国道から1本中に入った道路から、さらに高台へと上がったところに位置しており、交通の便はよいとはいえない部分もある。国道まで出てもコンビニ等の店舗は少なく、生活には車で一定距離を移動する必要があると思われる。
(6-1.石巻市・トゥモロービジネスタウン[811戸]、6-2.石巻市・須江工業団地道路用地[21戸])
(6-3.相馬市・大野台[9カ所計1013戸]、6-4.相馬市・柚木工業団地[220戸])
(その4へ続く…)
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Posted by: short haircuts for women http://shortcurlyhairsecrets.blogspot.com/ | Oct 04, 2014 05:01 AM